『ドキュメント72時間』が、コピーライターに教えてくれること

 

ドキュメンタリーが好きでよく観ます。

経済や社会を掘り下げたものが好きですが、最近のお気に入りはNHKの『ドキュメント72時間』です。ご存知の方も多いでしょう。

25分と短めで、特に強烈なメッセージはありません。「3日間、特定の場所でカメラを回し続けたら、何か見えてくるものがあるだろう」くらいのスタンスです。

ナレーションの湿度も程よく、番組全体に流れる淡々とした空気感が金曜の夜にちょうどいいです。

 

72時間、何が起きるわけでもありません。登場するのは、ビジネス界のリーダーでも、スポーツ界のスター選手でもなく、いわば名もなき市井の人々です。

この前は、愛媛の過疎地を回る移動図書館(バス)を追ってました。東京で夢破れて地元に帰った。子供には生きる力を身につけてほしい(だから、本を読ませたい)。

中学の同級生と数十年ぶりに再会した。それ以来、ここで待ち合わせてる。実は大きな病気が見つかり、今度入院することになって本を返しにきた。今日は借りては帰らない。

もちろん会ったこともない、この先会うこともない人たちです。でも、最後の65時間あたり、松崎ナオさんの『川べりの家』が流れると、ホロっときている自分がいます。

 

コピーライターの絶対条件として、「人間の多様性を腹の底から理解していること」が挙げられます。簡単そうに思うかもしれませんが、これがなかなか難しい。

でも、わたしたちはあらゆるターゲットにメッセージを届けなければいけません。

そんな時、役に立つのが「人の気持ちになる」というシンプルな行為です。「わたしだったら、どう思うだろう」と、相手の気持ちに思い至ろうとするわけです。

「コピーライターの仕事とは何か?」を教えてくれる、2つのエピソード

 

『ドキュメント72時間』は、決して社交的ではないわたしの想像力を補ってくれます。もちろん、数分でその人を理解するなんてできません(メディアにそこまでの力はありません)。

ですが、知ることはできます。想像する足がかりにはなります。と、そこまで気負わなくても普通にいい番組です。観たことない方はぜひ。

 

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