世間的には、「商品を良く見せるのが、コピーライターの仕事」と思われているかもしれません。

これ、大きな意味ではそうとも言えますが、本質的には間違っています。どういうことか、見ていきましょう。

 

コピーは嘘をつかない、盛らない

まず、コピーで明らかな嘘をつくのは論外です。JARO(日本広告審査機構)から指導を受けますし、悪質な場合は罪に問われます。

それにより、企業や商品が受けるダメージは計り知れません。絶対に止めましょう。

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では、盛るのはどうでしょう?

ちょっと下駄を履かせて、良く見せる。あからさまな誇大広告でなければ、セーフでしょう。実際に、そんなコピーを目にすることも多いですよね。

でも、この”盛り”も程度ものです。倫理的にどうかということもありますが、何より消費者に嫌われます。

 

人に置き換えて、考えてみましょう。あなたの身近にも「自分を良く見せようとしてるな…」という人がいるでしょう。

カッコよく、かわいく見られたい。強く見せたい。賢く思われたい。人間ですから当然です。それが人間のおもしろさでもあります。

ですが、知っての通り度を過ぎると嫌われます(笑)。鼻に付くってやつです。コピーも、これと同じです。

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まだ見ぬ魅力に、気付いてもらう

嘘をついてはいけない、盛ってもいけない。では、コピーライターは何をするのでしょう?

それは、消費者(あるときはクライアントも)が気づいていない魅力に、気づいてもらうことです。まだ見ぬ魅力に、光を当てるってことです。

その光で消費者は、「あっ、ほんとだ(たしかにそうだな)」「なるほど(そんな風に考えたことなかった)」「それいいかも(わたしも体験したい)」と共感します。

 

ここで例を一つ。共感性の高いコピーはたくさんありますが、パッと思いつくのはこれですね。

 

こんどの AIBOは 手がかかる。

『AIBO ERS-210』SONY

今はもう生産が終了したペットロボット「AIBO」のキャッチコピーです。コピーライターの仲畑貴志さんが書かれました。

AIBOは何代か発売されていますが、このコピーは第二世代のものです。約50の言語を理解したり、性格に個性が出たりと、第一世代から比べて進化したそうです。

でも、それらの機能を自慢げに語ることなく、さらっと「手がかかる」と表現しています。

消費者がペットロボットに何を求めるのか、どう言えば共感を得られるのか、考え抜かれたコピーだと思います。

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企業や商品は、人間のような人格を持っています。嫌われたら買われません、使われません。

かと言って、当たり障りのないことを言っても、興味を持ってもらえません。ここがコピーライティングの難しさであり、奥深さでもあります。

 

まとめ

コピーは嘘をつかない、盛らない。まだ見ぬ魅力に気づいてもらうというお話でした。

どんなトーンで何を語るかは、商品の性格を決定付けます。そう考えると少し怖いですが、怖いぐらいでちょうどいいんだと思います。恐れをもって、言葉で勝負しましょう。

 

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