先日、日本最大級の広告賞「宣伝会議賞」の受賞者発表がありました。多くの作品に感心させられ、何百本(何千本?)とコピーを書かれた努力に、襟を正しました。

中でも気になったのは、昨年からはじまった「中高生部門」。「あぁ、そんな若い頃からコピーに親しむ時代になったんだな」としみじみしました。

わたしがコピーライターを志したのは社会に出てからです。単に感度が鈍かったのかもしれませんが、一昔前ならそんな中高生はほとんどいなかったでしょう。

 

振り切ったコピーが清々しい

せっかくなんで、まずはいくつかご紹介しましょう。

中高生部門準グランプリ 持田勘多さん

課題:マテル・インターナショナル「UNO(ウノ)が毎日したくなるようなキャッチフレーズやアイデア」

 

UNOは持ってる。パンツは忘れた。 

さいこーですね。誰かもツイッターでつぶやいてましたが、こんなの思いつきません。修学旅行のワンシーンでしょうか。最大限の愛を込めて賞賛すれば、「バカだな〜(笑)」です。

初期のM1グランプリの笑い飯さんの香りがします。荒削りでもうほんとアホだけど、失うものもなく思いっきり振り切ってるから、腹がよじれるほどおもしろい。

なんなんでしょうね、こういうのって。「どうしようもないアホほど、愛おしい」という真理でしょうか。伝わってると思いますが、全力で褒めてます。

 

中高生部門グランプリ 勝山葉月さん

課題:官公学生服「カンコーの洗える制服をすすめたくなるキャッチフレーズ」

 

クリーニングじゃ 明日の告白に間に合わない。

いいですよね。こちらも現役の女子高生だからこそ書けそうな、体温を感じるコピーです。

誰もがどこかで心当たりのある、甘酸っぱい青春が鮮やかに切り取られています。そのまま実際の広告で載っていても、違和感ないんじゃないでしょうか。

 

贈呈式の様子は下記で(中高生部門は19:10頃~)。ほかの受賞作品も確認できます。

コピーライターの未来は明るい

彼らが将来コピーライターになるのかはわかりません。実際は、別の職に就く人のほうが多いでしょう。むしろ、このページを見ているあなたのほうが可能性は高いかもしれない。

わたしは、そんなあなたに「やったね」と言いたい。「泥まみれで混沌として、すばらしく美しい、コピーライティングの世界へようこそ!」と(松岡修造さんのイメージで)。

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コピーライティングは、ビジネスの世界では欠かせない技術です。特にネットビジネスにおいて、これほど重要なものは他にないと言われるほどです。

知っての通り、ビジネスは急速にオンライン化が進んでいます。これが逆戻りすることはありません(新しい形態へ進化する可能性は十分にありますが)。

「コピーで、ものが売れなくなった」なんて、もう昔話です。

これだって、キャッチコピーだけをコピーと捉える人が言い出したんでしょう。いつの世も、コミュニケーションの中心にあるのは言葉です。

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「コピー馬鹿」になるなかれ

 

若いうちに言葉やコピーに興味を持ったのは、すばらしい。ぜひ継続していいコピーに触れて、自分で書いて、コピーライティングのスキルを磨いていきましょう。

でも、それだけじゃダメです。いろんなことを経験しましょう。興味のあることはもちろん、自分のアンテナに触れないことも含めてなんでもです。

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自分で感じて、心を震わせて、あなたのフィルターを鍛えましょう。

それが、いつかコピーライターになったときの基礎体力になります。ものを考えるときの土台になります(ちっちゃな土台じゃ、高い塔は建てられませんよね)。

 

そう、コピーライターはコピー馬鹿じゃダメなんです。

なんでも好き嫌いなく食べて、世の中がどうなっているか、いろんな世代や属性の人がどんなことを感じて生きているかを知りましょう。

仮に、あなたがいま13歳で大学まで行ったとすれば、コピーライターになるのが10年後。ぜひ、思いもつかないようなコピーで、おじさんやおばさんを驚かせてください。

 

まとめ

「将来はコピーライターになりたい」と思いはじめた、中学生・高校生へ。コピーライターの未来は明るい、「コピー馬鹿」になるなかれという話でした。

書きながら、自分がコピーライターになろうと思った頃を思い出しました。「誰かからもらった見えないバトンを、また誰かに渡す」とは、こういうことなんでしょうか。

 

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