Q. 質問

素人にも書けそうで書けないボディコピーの魅力について、聞かせてください

ボディコピーについて、お尋ねします。コピーライター養成講座でも、「ホントにプロとの明確な差が出るのはボディコピーだ」と言われる難しい分野だと思います。

しかしながら、プロの人たちが、「ココがすごい」と過去の名文を評価しているのを熟読しても、ホントの意味で凄さがわからないことが多いのも事実です(自分にも書けそうだなぁ、と僭越ながら思ってしまいます)。

素人にも書けそうで書けないボディコピーの魅力について、今回のQ&Aで掘り下げていただきましたら幸いです。

(シゲルーティン さん)

A. 回答

質問ありがとうございます。ボディコピー、いいですよね。企業からの(あるいはコピーライターからの)手紙のようで、味わい深いです。

たしかに、一行でピシッと言い切ってるわけではないので、素人でも書けそうな気がするというのはそうかもしれません。誰だって、文章は書きますからね。

でも、プロの仕事をまじまじと見るとやっぱり違う。何が違うのかはわからないけど、何かがはっきりと違う。今日はそんなボディコピーについて語ってみましょう。

 

まず、ボディコピーとは何かというと。キャッチコピーと呼ばれる一番大きな文字で書かれた言葉の次に来る、少し小さな文字で書かれた文章のことです。

このページを読んでいるあなたは、そこまで読むかもしれませんが、一般の人はなかなかそこまで目を通しません。

メインキャッチは否が応でも目に飛び込んでくるとしても、ボディコピーは余程興味を持ってもらえないと読まれない、ちょっとさびしい存在です。

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でも、このボディコピーが効くときは効くんです。というか、ほんとの心の深いところまでメッセージを届けるのはボディコピーの役目と言ってもいいでしょう。

キャッチコピーが文字通り、読み手の心を「つかむ」ものだとしたら、ボディコピーはメッセージをしっかりと伝えて、納得あるいは共感させて、行動させる役割を担っています。

その広告企画のメッセージにどれほどの意味や価値があるのか(ないのか)、これが明らかになる。つまり「どれだけ考えているか」が、ぜんぶ出ちゃうんです。

だから、ボディコピーにフロック(まぐれ当たり)はありません。起こりようがないんです。

 

しかも、前述の通り、読まれるハードルは高い。キャッチコピーで「お、なんだろ?」「あ、わかる!」と思った人だけが、次のボディコピーへと読み進みます。

そしたらこっちのものかと言うと、そうでもありません。つまんない内容なら、数行で離脱されます。電車内でもどこでも、他に注意を引くものがたくさんありますからね。

キャッチでつかんで、グイッと最後まで引き込んでいく、これがボディコピーの難しさであり、書き手の醍醐味でもあるでしょう。

 

話の運び方、文章を組み立てる構成力が求められることは、言わずもがなです。

リズムも大事、語り口も大事。ある程度の長さがあるだけに、商品やサービスの人格(内々には、コピーライターの人格)がわりとそのまま出てしまいます。

ラブレターでも、たいして気持ちがなくても「あなたが好きです」とは書けそうですが、具体的に問われると困ってしまう。そういうことです。

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百聞は一見に如かず、具体例を一つ挙げましょう。ご存知かもしれませんが、児島令子さんが書いた日本ペットフードのコピーです。

全文引用は少し気が引けますが、読みにくそうなんでテキストでも載せておきます(改行は省略しています)。可能であれば声に出して、味わってみてください。

 

死ぬのが恐いから飼わないなんて、言わないで欲しい。

おうちを汚すから飼わないというなら、犬はお行儀を身につけることができる。留守がちだから飼わないというなら、犬はけなげにも、孤独と向き合おうと努力するかもしれない。貧乏だから飼わないというなら、犬はきっといっしょに貧乏を楽しんでくれる。

だけど・・・死ぬのが恐いからって言われたら、犬はもうお手上げだ。すべての犬は永遠じゃない。いつかはいなくなる。でもそれまでは、すごく生きている。すごく生きているよ。だぶん今日も、日本中の犬たちはすごく生きていて、飼い主たちは、大変であつくるしくって、幸せな時間を共有してるはず。

飼いたいけど飼わないという人がいたら、伝えて欲しい。犬たちは、あなたを悲しませるためにやっては来ない。あなたを微笑ませるためだけにやって来るのだと。どこかの神様から、ムクムクしたあったかい命を預かってみるのは、人に与えられた、素朴であって高尚な楽しみでありますよと。

 

中盤の「すごく生きているよ。」の箇所なんて、グッときますね。個人的には、この辺りに書き手の人柄がにじみ出ていると思います。

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