最近、コピーライターの谷山雅計さんの著書『広告コピーってこう書くんだ!読本』を読みました。「えっ、今まで読んでなかったの?」と思う方もいるでしょう。2007年発刊ですからね。

まぁ、これまで手が伸びなかったんだからしょうがない(笑)。このサイトで書いてることの多くは、わたし自身の体験から、わたし自身が学び、考えたことです。

 

言葉はキャラクターなんだという話

本の内容を詳しくは書きませんが、わたしが印象に残った話を一つ。

谷山さん曰く、言葉にもキャラクターのようなものが求められていて、自身の代表的なコピーとして、新潮文庫の「Yonda?」を挙げられています。

あのパンダのキャラクターのプロモーションですね。2014年で終了しましたが、1998年から15年間続いたので、覚えている方も多いでしょう。

 

こうしたコピーを書くときに気をつけているのは、「コピーライターが上手につくった」という感じをできるだけ消すことです。「さすがコピーライター、うまい!」などと思われないように書きたい。そのほうがキャラクターとして、みんなが手に取りやすくなったり、もち歩きやすくなったりするのではないかと思うんですね。

出典:谷山雅計『広告コピーってこう書くんだ!読本』宣伝会議

 

なるほどなと思いました。谷山さんは、「こうしたコピーを書くときに」と前置きされていますが、わたしは基本的にコピーライティングってそうだよなと考えています。

 

膝を叩くコピーで、人は動くのか?

上手いコピーはたしかにインパクトがあるけど、本当にそれで「人を動かす」というコピーの役目は果たすのか?これは、わたしが新人の頃にモヤモヤしていたことです。

今なら、断言できます。そういったコピーはどこまで行っても「よく頑張りました」止まりです(もちろん、スルーされるコピーよりは、はるかに良いですが)。

やっぱりコピーは、その言葉で実際に人を動かすものでなければいけない。これは、コピーライターの存在意義にかかわる話かもしれません。

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具体的な例は挙げませんが、街では「それ、ほんとに効くの?」というコピーをちらほら見かけます。

広告賞で入選するようなコピーにも多いです(実際の仕事ではないので、わからなくはないんですが)。なんだか、上手いこと言うコンテストになっている気さえします。

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本当にいいコピーって、なんだ?

 

もう少し踏み込むと、コピーライターの“ドヤ顔”が見えるコピーは、ちょっとしんどい時代なんじゃないかってことです。

たとえば、服の販売員さんでもそうでしょ。「センスの押し売り」じゃなく、さりげないコミュニケーションのほうが心地いいですよね。

広告を見たときに「あっ、上手いこと言うな」というコピーは、「なるほど」と感心されても、人はなかなか動かないんじゃないでしょうか。

 

いいコピーは、そっとさりげなく存在していることが多いです。押し付けがましくなく、ましてや苦労の跡もなく、それでいて「すっ」と心に入り込むようなコピー。

家に帰ってからも、なんだかじんわり残っていて、次の日にまた見かけたら、「あー、やっぱりこれ好きだわ。この広告の言ってることは、きっと嘘じゃない。わたし、わかるこの気持ち。」これが消費者の共感なんじゃないかと。

 

上記はだいぶ理想型かもしれませんが、「上手い!」と膝を叩くこととは、似ているようで違うと思うんです。だって、人は説得されたいわけじゃないですからね。

一般消費者に「上手いね」と察知されるようでは、まだまだ。できるコピーライターは、なるべく気配を消して、いつのまにか読み手の心をつかんでる。

そう思うと、コピーライターは柔術家のようなところがあるのかもしれません。

 

まとめ

できるコピーライターは気配を消して、いつのまにか読み手の心をつかんでるという話でした。

ちなみにこの本は、これからコピーライターを目指す方〜駆け出しの方におすすめです。難解な箇所はまったくなく、ほぼエッセイ感覚で、あっという間に読めます。

コピーの書き方も、ある程度学べるようになってます。まだ、読んでいない方はぜひ。今回のわたしのように、いろいろ考えが巡ると思いますよ。

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