みなさんは、コピーライターの仕事をどんな風に捉えているでしょうか。
ペンを鼻に挟んでいると、電球のひらめきマークとともにパッとコピーが思い浮かぶ。なんてことはありません(笑)。今日は、一本のコピーが生まれるまでをご紹介します。
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とにかく、まずは情報収集
たとえば、A社という自動車メーカーからコーポレートメッセージ作成の依頼が来たとします。わたしなら、まずは大きく4つの情報収集をします。
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① A社について
企業のWebサイト、採用サイト、パンフレットを読み込みましょう。
何を大切にしている企業か、代表者はどんな言葉を発信しているか、従業員は何を語っているか。過去にどんな広告を出しているか。できれば、販売店にも足を運びましょう(商品のコピーなら、実際に使ってみましょう)。
これで、A社という企業の輪郭がぼんやり見えてきます。
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② 競合他社について
上位5社ぐらいでしょうか。コーポレートメッセージはもちろん、Webサイト、代表の言葉、過去に出している広告。これらにもできる限り、目を通します。
こうすることで、A社の立ち位置がなんとなく見えてきます。
③ 業界を取り巻く環境について
成長しているのか、衰退しているのか。ネットでいいので、過去数年のニュースや特集記事を読みましょう。
消費者のマインドはどうでしょう?何を感じて、どんなことを期待しているでしょう。大事なのは勘に頼らないことです。自分も消費者だからと、偏った考えをするのはマズいです。
世の中にはいろんな人がいます。フラットな気持ちで、ネットのクチコミ、家族や友達の話など、生に近い声も拾い集めましょう。
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④ A社に、直接ヒアリング
広報担当者、新商品なら開発責任者にヒアリングします(難しいでしょうが、できれば代表にも直接お話を伺いたいところです)。
ここは、勝負どころです。情報収集の山場と言ってもいいでしょう。ここでメッセージの原石のようなものを拾えることが結構あります。
ただ話を聞くだけでは駄目です。すでに得ている知識があるはずですから、それを武器に相手の懐に入り込みます。でないと、核の部分は引き出せません。
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洗い出して、掛け合わせる
さて、だいぶ情報が集まりました。これで、A社について少しは語れるようになったはずです(それでも、従業員の方に比べたらまだまだですが)。
ここで、はじめて書くことに近い作業をします。大きくは3つです。
① A社が言いたいことを洗い出す
A社が世の中に発信したい、発信し得ることを洗い出します。たとえば…
- 他には負けない圧倒的な技術力
- ◯◯という車で一時代を築いた
- オリジナルにかける情熱がすごい
- デザインが良いというイメージ
など、思いつく限り何十個と挙げましょう。紙の左側に、箇条書きにします。
② 消費者の気分を洗い出す
消費者がこの時代に、自動車あるいはA社に思うことを洗い出します。たとえば…
- エコの次は何が来るのか
- 自動運転にはワクワクする
- 安全性能はどこまで進化するか
- いつか空を飛ぶ日が来るだろうか
など、これも何十個と挙げましょう。右側に箇条書きで並べます。
③ ①と②を掛け合わせる
企業の(あるいは商品の)言いたいことと消費者の気分感を掛け合わせましょう。
コピーライティングに閃きが必要だとすれば、一番はここです。書き出した紙をじーっと眺めていると、何か発見や気づきがあるはずです。
上手くいけば、A社は何を言えば良いのかが、見えてくるでしょう(いわゆる「What to say」です)。
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100本書いて叩く、これを繰り返す
やっと「何を言えばいいのか」、つまりメッセージの核が見つかりました。いくつか、見つかる場合もあるでしょう。
次は、これをどう言うかです(いわゆる「How to say」です)。どう言えば、消費者の心に届くか。どんなトーンで言えば、この時代に刺さるかを考えましょう。
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ここは、数がものを言います。田舎のおばあちゃんでもわかるように言ったらどうか、自動車に語らせてみたらどうか。切り口を変えて、視点を変えて、まずは100本書きましょう。
中には、「これはあるかも…」という数本が見つかるはずです。そこから、そのコピーを軸にまた100本書きましょう。
こうして、何度も試行錯誤を重ねて、鉄のように熱いコピーを叩いて叩いて、一本のコピーを生み出します。
この先には、コピーのプレゼンがあります。A社の担当者に気に入ってもらい、コーポレートメッセージなら代表のGOもいただいて、やっと世に出るわけです。
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まとめ
一本のコピーが生まれるまでの流れが、なんとなくイメージできたでしょうか。
今回はコーポレートメッセージを例に挙げましたが、商品のキャッチコピーでも基本的には同じです。選考課題やポートフォリオ(作品集)などで、コピーを書く際の参考にしてみてください。
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